アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門

知識に対する投資は、常に最大の利益をもたらす

ベンジャミン・フランクリン

冒頭の格言にぴったりな内容の本です。

ポモドーロとは、イタリア語でトマトを指すようです *1ポモドーロテクニックの原型となったものが、トマト(ポモドーロ)型のキッチンタイマーを用いたことに由来するそうです *2

ポモドーロテクニックはとにかく実践が簡単です。

  1. アクティビティ(作業の最小単位)を書き出す
  2. 25分を1つの単位としてタイマーをセットする
  3. セットされたタイマーに従い、1つのアクティビティに集中する
  4. (アクティビティが完了していなければ)5分間の休憩を取って 2. に戻る

入門として始めるにはこんな感じになります。本書では、さらに体系的な方法論や関連テクニック、用語とその概念も含めて紹介されています *3 。最初から完璧に実践しようとすると、物怖じしてしまうので、まずできることから「やってみよう」というのが私にとっては重要です。本書を読むことと、本書の紹介記事を書くことにポモドーロテクニックを実践してみました。その結果、本書を読むことに3ポモドーロ、この紹介記事を書くことに4ポモドーロかかりました。

ポモドーロテクニックを活用する前は、本を読むのも紹介記事を書くのもノリで行っていたため、時間を全く意識していませんでした。もちろん集中したらこのぐらいの時間かな?という予測は立ちましたが、Twitterタイムラインを眺めたり、音楽を聞いたりといった割り込みを除外してまで、1つのアクティビティに集中しようとは思いませんでした。そして、実際には集中して取り組まないことが自分自身で分かっているので、そのだらだらした時間も含めてこのぐらいの時間かなと見積もっていました。

しかし、ポモドーロテクニックを使って1つのアクティビティに集中すると、それまでの自分が考えていた時間(だらだらも含む)よりもずっと少ないポモドーロ数(時間)でアクティビティを完了させられることに気付きました。

本書のまえがきでこんな一文が注意を引きました。

ポモドーロテクニックを始めた当初は、1日に12ポモドーロ分の仕事(つまりは「たった」6時間)は、こなせるだろうと思っていました。しかし、ふたを開けてみると、せいぜい8ポモドーロが現実的なラインということがわかりました。

集中して1つのことに取り組むことの効率の良さとそのエネルギーの消耗を、ポモドーロテクニックを実践することで気付き易くなります。

1ポモドーロ = 25分という単位に何らかの研究成果の裏付けがあるわけではありません。それが自分のサイクルにあわなければ微調整すれば良いと本書でも記載されていますが、最初は25分から始めて、少なくとも2週間は同じリズムで継続しなさいとあります。25分というのは集中して取り組んでいると、とても短い時間に私は感じました。この紹介記事を書くのに4ポモドーロかかりましたが、書いていてノってきてもすぐに休憩時間(5分)に入ってしまい「仕方ない、休憩するか。」と Twitterタイムラインを眺めたり、音楽を聞いたりしました。しかし、この休憩は書きたい欲求を高めつつ、上がったテンションを適度に下げて冷静さを取り戻し、やりかけのアクティビティを無意識に脳で整理させるのに良いのかなとも思いました。

本書の後半で見積りと測定もポモドーロテクニックには不可欠な要素だと書かれています。ポモドーロテクニックを使って集中した時間単位をいくつも作れるのであれば、それまでの自分の見積りとタスクの進め方が大きく変わる可能性があるように思います。このタスクを半日でやろうとか、明日中に終わらせれば良いやといった曖昧な見積りは見直され、より小さな単位であるアクティビティに分割された結果、その効率がどう変わるのか。

まずは2週間、ポモドーロテクニックを実践してみよう。どんな成果が待っているか本当に楽しみです。

アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門

アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門