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Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方

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誰かの書評を読んでウィッシュリストに入れていたのを、ある時にお祝いとして id:rokujyouhitoma から頂きました。読むのが今頃になってしまいましたが、ありがとうございます!

しかし、いまとなっては、誰の書評を読んだのか、なぜ私は本書をウィッシュリストに入れたのか全く思い出せません (> <)、それでも id:rokujyouhitoma には感謝しています!

積んどく状態でしたが、ふと読み始めたらおもしろかったです。読みやすく、分かりやすく、統合性があって良い書籍だと思います。

小さく営むための知恵

著者の言う「小さな ISV」とは、いわゆるパッケージベンダーです。

ISV は作りたい製品を構想し、それを作り上げた時になってもまだ欲しがる人がいることに賭け、リスクを取る。ソフトウェア製品を持たない会社は ISV ではない。「小さな ISV」というのは ISV の大きくないもののことだ。

小さな ISV は小さいままでいる傾向がある。大きくなるにしても、成長はゆっくりしている。有機的に成長し、自身の利益を投資することで成長する。小さな ISV は地味でも収益を上げていることが多い。

執筆された時期が 2003-2005 年の記事が多いので、やや古い内容もありますが、その知恵は時代や状況が変わっても応用できそうです。考え方の要点や注意を向ける視点について、経営資源の「ヒト」「モノ」「カネ」に対して、小さな ISV ならではの、フットワークの軽さを考慮して書かれています。

ここで「小さな」というのが重要な点で、大きな組織と小さな組織ではやり方が異なるというのを認識するのにも適した内容です。

ギークのためのファイナンス入門

本書の特徴の1つとして、ソフトウェア開発者の視点から企業や業務活動全般を俯瞰した内容を網羅している点です。

例えば、私にとっては「第4章 ギークのためのファイナンス入門」が、財務の専門的な用語や仕組みの理解を必要とせず、要点のみをシンプルに説明したもので分かりやすかったです。もちろん著者も本章を財務上のアドバイスとして受け取るべきではなく、ファイナンスの専門家に相談する必要があると説いています。ただ、ファイナンスの専門家のアドバイスも必ずしも全てが適切であるとは限らないということです。

戦略的意思決定にかかわる財務諸表として、以下の3つは読めるようになった方が良いと奨めています。

開発者が財務のことを知る必要はないという意見もあるかもしれませんが、私はある程度分かった方が良いと考えています。というのは、当たり前の話しですが、ビジネスが成り立たないと開発を継続できません。開発を継続できないと、技術的な挑戦や自身のキャリアを磨くこともできません。このプロジェクト (企業) は先細りだなとか、数年後に潰れそうだなとか、開発者も自ら判断して取捨選択していくことが重要になっていくように思います。

私がこれまで働いた企業だと、経営者は賃借対照表のみを説明したがります。しかし、パッケージベンダーの賃借対照表は全く当てにならないです。ソフトウェアは、無形固定資産や棚卸資産に含めて、それなりに数字を誤摩化せるからです。実際、ある程度は仕方ないのでしょうが、そのバランスはどのぐらいが適性な状態かを開発者が理解することは難しいと思います。

また、売上総利益率という指標から、その高低でビジネスモデルの違いを述べ、さらにオープンソースビジネスモデルが難しい理由を売上総利益率が低いからと説明しているのはおもしろい視点でした。

Just Do It

おそらく最も一般的な誤りは、ソフトウェア製品を作りたいと思いながら、それについて何もしないということだろう。

エピローグが (私にとっては) 最もユーモアのある、ちょっと良いお話でした。

アイディアは誰でも思い付くし、それが売れるものかどうかなんて、やってみないと分からない。小さなアイディアを小さく始めて、失敗したらまた別の小さなアイディアを始めれば良いだけの話しである。

結論: 私は2週間の注意深い作業をして「今を生きよ」という以上のことを何も言っていないアーティクルを書くことになるだろう。
そんなのは馬鹿げている。

Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方

Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方