あなたも翻訳家になれる! エダヒロ式 [英語→日本語]力の磨き方

枝廣淳子さんの著書を読んでみたくなって購入しました。

プロの翻訳家を目指しているわけではありませんが、エダヒロ式学習法に興味がありました。もちろん「翻訳とは何か」という氏の哲学もとても興味深い内容です。それを読むと、私は恐れ多くてプロの翻訳家を目指そうとは思えませんでした。

それよりもどういった視点や考え方でその独特の学習スタイルを築いたのかに私は興味をもちました。そのため、ここでは翻訳に特化した話題よりも、勉強方法を考えるきっかけ作りを主に紹介します。

エダヒロの天職公式

冒頭の序文から興味をそそります。おもしろい公式です。

「好き」x「得意」x「大事」=「天職」

私はプログラミングが「好き」ですが、「得意」ではないし「大事」というのは抽象的過ぎてよく分かりません。しかし、こういった要素があれば、お仕事が楽しそうだという雰囲気は伝わってきます。本書を読み進めながら、これらの要素が何かを考えるきっかけになります。

プロとアマチュアの決定的な違いとは

プロの翻訳家とアマチュアの翻訳者の大きな違いの1つは、持久力です。

あぁ確かに!と思った一文です。私もちょくちょく技術ドキュメントを翻訳していますが、やりかけのまま途中で止めてしまったものや、途中で疲れて完了するのに想定以上の時間がかかったものがいくつもあります。

プロとは、高い品質で分量をこなせないといけないと説いています。

その表現を「知っている」と「使える」は違います

良いなと思える表現をストックしておいて、何度も読み直して慣れ親しんだり、実際に意識して使うと良いと説かれています。

最近、英会話で "absolutely", "exactly", "affordable (price)" を使う機会を狙ってたりします。頭の中でチャンスがあれば言ってやろうと思っていると、その時が訪れたときに良いタイミングで実際に声に出すことができます。慣れないと間が少しぎこちない感じですが (^ ^;;

訳文の欠点を見つける - 声を出してチェック

目はスキャンするのが得意な感覚器で、耳はメリハリをつけた形で情報を取捨選択する感覚器だと説明しています。

本文の中では訳文の仕上げに「声を出して読む」ことで、しっくりこない表現やつながりの悪い表現を見つけるのに大きな効果があると紹介されています。これは訳文のみならず、日本語においても文章を書くこと全般に応用できることも追記されています。

なるほど。声に出して耳から聞くというのは、これまでの私のスタイルにはなかったものなので取り入れていこうと思いました。

2つの必須事項 - ビジョンと自分マネジメント

いっときの情熱でやれるのは短期間だけであり、中長期で取り組むには「ビジョンと自分マネジメント」という「しくみ」が必要だと主張しています。システム化することが大事であり、続かなかったと自分の意志の弱さを責めても仕方ないというのは、私にとって身にしみる言葉でした。

バックキャスティングでビジョンを描く

「バックキャスティング」という言葉を初めて知りました。環境の世界で使われる用語のようです。言葉の定義を氏のメルマガから引用します。

「それが達成できた時に、最終的にどういうところに行きたいのか?」

http://daily-ondanka.com/edahiro/2008/20080207_12.html

ビジョンを描くときに、現状の問題点を改善するのではなく、在るべき姿になったら自分はどうしたいのかを考えるやり方です。これはものごとを現状の延長線上にのみ考えないという視点を得るのにとても良さそうです。

自分の力を120パーセント引き出す時間の使い方

時間をどうマネジメントするか、自分の集中力やパフォーマンス (翻訳の質) をどうやってあるレベル以上に保つかが大事なスキルとなってきます。プロとアマチュアの違いの1つは、「必要な集中力で継続して作業できるか」です。

このためのトレーニング方法として、あえて時間制限を設けて作業するトレーニングが良いそうです。「時間を計る」という行為そのものが見積もりの精度を高めたり、計画作りにも生きてくるようです。

まとめ

すごく読みやすくてさっと読めてしまうものの、後から読み直して気付く内容がいくつもありました。もちろん翻訳のコツもたくさん紹介されていて参考になります。翻訳を通して英語の勉強をしようと考えている人にとっては一石二鳥な良著だとお奨めできます。