学術論文の書き方のメモ
7年前の、当時、修士1回生のときに受講していた「科学技術表現」という講義のメモが出てきたので(自分用に)整理してみました。メモ書きなので講義を受講していない人には分かり難いかもしれません(^ ^;;
学術論文は、技術文書とは違い、内容の良し悪しに加えて、それが論文としての「体」をなしているかが重要です。数年前のお話なので、もしかしたら、現在はその「体」が少し変わっているかもしれません。ご参考まで。
早く安く作った論文やアルゴリズムはまったく独自の自分の考えしか残らない
論文の流れ
- タイトル
- 概要(アブストラクト)
- 序論(はじめに)
- 一番難しいので最後に書く
- 関連研究、問題意識、研究目的
- 本論部
- アイディアの提示
- 実験
- 本論部と実験は、ちゃんと出来ていれば易しい
- 結論
- 繰り返しでも良いのでやったことを書く
- まとめと再アピール
- 長めに書く
論文のタイトル
- タイトルの使われ方
- 目次をざっと見て、おもしろそうなもの
- インターネットで検索する
- 良いタイトル
- 分かり易いもの
- 論文の中身が想像できるもの
- 興味を惹くもの
- タイトルに入れるべきこと
- 取り組んだ問題
- 着眼点、新規性
- 研究対象
- 具体的対象
- 研究手法
- 省略すべき
- 結果
- 省略可
- 長さ
- 40字程度以内、10数単語程度以内
- 高度なワザ
- 問題のみを述べる
- 大々発見のケースのみ OK
- 問題のみを述べる
- 副題をつける
- 主張タイトル(最も危険)
- 結果のみを述べるのは超インパクトなケースのみ
- 例: 胃ガンの主要因はピロリ菌である
- 例: 牛肉は野球用の筋肉を発達させる
- 省略すべきこと
- ・・・の研究
- ・・・についての報告
- シリーズもののタイトルは駄目
- 結果のみを述べるのは超インパクトなケースのみ
- チェックリスト
- 表現が具体的で内容がイメージできるか
- 取り組んだ問題と着眼点が述べられているか
- 長過ぎないか
- 情報の詰め込み過ぎ
- 短過ぎないか
- 情報を伏せている
- インターネットの検索を考慮しているか
序論(はじめに)
- 序論は難しい
- 研究動機は理解しているか
- 他人の研究をフォローしているか
- 最後に書く
- 序論の目的
- 研究目的
- 着眼点
- 研究動機
- なぜこの研究がおもしろいのか、必要か
- 興味をひきつける
- 何を書くか
- 研究分野のレビュー
- 分野の目的
- 現在までの主要成果
- 残されている問題点(着眼点、動機がみえてくる)
- 着眼点と研究対象
- 論文の構成
- 短い論文は省略
- 用論の定義
- 研究分野のレビュー
- 最初の文でひきつける
- 理解し易いこと
- 「・・・という」のテクニック
- 読み易いように配慮
- 良い例
- 陰関数曲面という流麗な曲面の生成に適した
- 悪い例
- 近年のコンピュータの発達により、、、
- 書き易いが飽き飽きしているのでやめよう
- 近年のコンピュータの発達により、、、
本論部
- レビュー部
- 既存の理論・手法を解説
- method
- 研究材料の解説
- material
- 既存の理論・手法を解説
- 理論・手法を提示(新規性)
- 新理論・新手法
- 既存手法と研究材料の新たな組み合わせ
- 非専門家に分かり易く、専門家には興味深く
- 論理の流れが明快
- ポイントの1つ
- 各段落(論理の単位)が目的を持つ
- タイトルが付けられる
- 付録を使う
- 証明の詳細など(数式・プログラム)
- 読者が「がんばれば再現できる」程度
- 論理の流れが明快
- ポンチ絵
- 説明のための挿絵
- デザイン・ダイヤグラム
- システムのデザインの説明
- 実験・適用例
結論部
- まとめと再アピール
- 十分な長さ
- A4一枚ぐらいは書く
- 新データ・新ロジックはなし
- 例外:今後の展望・課題
論文のセクショニング
- 書き始める前にセクショニングして目次を早めに作る
- 論理の確認
- 自分が分からない話は、他人には絶対に分からない
- 自分(達)の頭を整理
- 足りない材料をチェック
- 論理の確認
- アウトラインプロセッシング
1章 1節 1小節
謝辞
- 書く場所
結論 空白 謝辞
- とりあげる人
- 有用なアイディア・情報・技術の提供者
- ディスカッションに付き合ってくれた人
- 励ましてくれた人
- 注意
- なくてもよい
- 短く
- 肩書き
- 英文: なしがデフォルト
- 和文:氏、教授、博士、助教授
- 責任が生じることがあるので了解を得る
参考文献
- 目的
- 説明の補助
- 論文が過去のどの仕事に立脚しているかを示す
- 著者がきちんと勉強していることを示す(論文の信頼性)
- 注意点
- 関連論文は網羅的に
- 原論文は書くべき
- 教科書
- 原則は原論文を引用
- 読者の便宜で教科書も
- 学部レベルの知識は引用しない
- すべての文献は本文中で引用
- 例: マーチングキューブ法[1]である
- 単語の意味
- 例: マーチングキューブ法である[1]
- 文章全体の意味
- 複数文献の引用([1,2],[1-3])
- 読者が文献を入手できる情報
- 情報の欠け、ミスプリント
- よくあるが、読者が迷惑する
- web ページ
- 避けられる場合は避けるべきだが、今後は変わるかも?
- 関連論文は網羅的に
数式の記述法
- 標準ルール(LATEX は自動でしてくれる)
- JIS Z 8201
- ISO 31/XI
- 原則
- 関数・演算記号:ローマン体(立体)
- 単位:ローマン体
- 数(変数・定数):イタリック体
- ベクトル:ゴシック体
- JIS における常識に反する指定
- 良く知られた定数はローマン体
- dx の "d" はローマン体、"x" はイタリック体
リファレンス:
仕事で文書を書く必要がある人は理科系の作文技術を読むべきだ
近年、「近年、」ではじまる卒業研究が増えている
本気でオープンソースのプロジェクトに関わろう