議事録のテンプレートとその目的

資料のフォーマットを作ることはとても重要です。プログラミングにおける設計と同じです。ある作業を行う際、資料のフォーマットがあれば、経験の少ない人でもそのフォーマットに沿って、穴埋めしていくだけで、一定レベルの品質を担保できるからです。どこの会社も独自の資料フォーマットを持っていて、それがノウハウの1つとも言えます。資料フォーマットがない場合、その業務に対するノウハウがないと考えて先ず間違いありません。

インターネット上で公開されている議事録のテンプレートにあまり良いものが見当たらなかったので、議事録のテンプレートを作成しました。良ければご活用ください。他にも良いものがあれば、私に教えて頂きたいです。

議事録_ZopePlone開発_ひな形.xls

SE(システムエンジニア)というお仕事で議事録を軽視している人や IT 系企業に入社する新入社員がいたら、声を大にして伝えてほしいです。

ちゃんと議事録を書きましょう、お仕事をなめるな

私が新卒で入社した会社は、システム運用系 SIer で、最初の2年間ぐらい議事録を書くのがメインのお仕事でした。当時の上司に、会議で誰が何を話したか、その内容を全て書けと指示され、会議内容は IC レコーダで録音し、2時間の会議だと A4 で4〜5ページ程度、丸1日会議をしたときは20ページ程度の議事録を書いていました。
2時間の会議を3〜4時間で書けと指示され、今、思い返すとただのパワハラでしかなかったのですが(録音データを聞き返すだけで2時間かかる)、実際は5〜6時間かけて、ひたすら議事録を書いていました。20ページの議事録を書くと、丸3日ぐらい(録音データを聞き返すだけで8時間かかる)かかっていました。2ヶ月間の要件定義で書いた議事録の枚数は200ページを超えていました。

そんな苦労をして書いた議事録は、現場のエンジニアからも、顧客からもかなり重宝されていました。なぜなら、誰が、何を、どういう経緯で言ったかという記録には、その意図が含まれていたからです。

システムを開発する人には分かる感覚だと思いますが、仕様が分かっても、その意図が分からないと修正や機能拡張が難しいケースが多々あります。ちょっとしたことであっても、当事者が分かっているからと蔑ろにしていると、3ヵ月後には当事者がいなくなり、1年後には忘れ去られ、3年後には謎の仕様になることがよくあります。

議事録は、昨日行った会議のために書くのではなく、3ヶ月後に誰でも話した内容を思い返せるために書くと私は考えています。

議事録を書くことは、特に若い方や新入社員にお奨めしたいです。議事録を面倒に思う人は多いし、実際、ちゃんと作成するとそこそこ時間もかかります。それでも、議事録は率先して書くべきです。議事録を作成することの大きなメリットとして、要約力が身に着きます。

当時の私にとって、4〜5ページの議事録を1ページの決定事項にまとめるのも難しい作業でした。何が本質的に重要な内容で、どのように書けばビジネスとして正しいやり取りなのか、どう書けば少ない分量で分かり易いか、文章を書く基礎力を身につけることができます。そして、如何に会議は時間の無駄であるかを悟ると思います。そうすると、会議で必要な準備や議論すべき要点も自然と分かるようになってきます。

さらに議事録は、大抵は、フリーフォーマットで作成できるケースが多いです。内容の構成、フォントや色使い、図形データの配置等、分かり易い資料の作り方を練習する題材として、とても良いです。

時間節約のために、議事録をメールで済ませる人もいますが、私はあまりお奨めしません。メールでは、フォーマットを整形するのが難しく、ワークフローのような図形データを挿入できず、また多くのメールの中に埋もれるので資料を整理したり、検索するのが億劫になります。

「議事録は決定事項だけで良い」と言う人も多いです。しかし、システム開発の現場においては不十分だと私は思います。少なくとも、その決定事項を決めた意図を詳細欄に残しておくべきです。例えば、システムの開発会社や担当者は開発期間中しか顧客の業務に携わりませんが、システムは移り変わっても、業務はその後もずっと業務を続けていきます。良い議事録を作ることで、業務の仕組みや現行システムの意図をノウハウとして蓄積することもできます。

私が作成した議事録は MS Excel で作成しています。理由は、私が MS Word を嫌いだからです。学生時代に wikipedia:Latex で論文を書いたことがある人は、フォーマットを後から指定できる仕組みがどれだけ素晴らしいかと言うことを実感していると思います。Excel も同様に、少しノウハウが必要ですが、後から柔軟にフォーマットを変更できます。また、図形情報を容易に配置できるのも優れた点です。