営利活動と社会貢献のはざま
キヤノンマーケティングジャパンさんのhttp://teiki.saiyo.jp/canon-mj2011/contents/dm_2/index.htmlを読みました。当初は、大手企業なのに業績不振で新卒採用の予算がないぐらい厳しい状況なんだなと思いました。もし現在、選考中の学生さんがいたとしてもその選考を凍結、もしくは反故にするのかなと推測したりもしました。私にとってはその程度の認識でした。
そして、たまたまこの発表を見た後に学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識を読みました。その中で「官僚たちの的外れな指摘」というエピソードの中で就職協定の問題に対する著者の見解が取り上げられています。
本当に就活を後ろ倒しにしたら、学生たちは本分である学業にいそしむのか?そんなはずはない、というのが私の見方だ。なぜなら、大手企業に内定が出るような学生たちの就活は短い。彼らの多くは、解禁と同時4月に内定を得て進路が決まる。冠系や準大手企業でも5月にはほぼ採用が確定する。つまり、4、5月に就活が終わる学生は非常に多く生まれているのだ。
(中略)
ところが、内定後は、「これで清々して遊べる」とバイトや旅行、サークル活動に精を出し、残り少ない学生生活を謳歌する学生が多い。つまり、そもそも学業を本分などと思ってはいないのだ。
私も概ねこの内容通りの就活とその後の生活を送りました(^ ^;;
私自身、就活を早くしろとか、現状のままで良いと言うつもりは一切ありません。ただ、就活協定の問題は学生さんにとってあまり影響のないことだと私も思います。
閑話休題。キヤノンマーケティングジャパンさんの発表にある「学生のみなさんから学ぶ機会を奪っているのではないか?」という問題認識自体が意味をなさない内容だと私は思います。そうすると、この発表は何なのかが疑問に感じてきました。
一般的に企業における活動は、営利活動と社会貢献の2つに集約されます。企業において人事部は間接部門であり、人事部が直接的に何らかの利益を追求しているとは考え難いです。また、もし既に選考を進めてしまっていたのであれば、その学生向けにこの内容を連絡して謝罪すれば良いだけの話です。なぜに一般公開する必要があるのか。
ならば、この発表は就活協定の問題に対する1つの回答として社会的な意義や在り方を問う社会貢献なのか。しかしながら、学生さんにとってあまり影響のない就活協定の問題、さらに冒頭で業績不振だからと潔く認めているだけに、社会的な意義を主張するのは弱過ぎる気がします。また、業績が良ければ例年通りにしただろうという意図も読み取れます。
この発表は一体何を目的に行ったのだろうか?
私は甚だそれが分かりません。この発表によって注目が集まり、企業アピールや選考活動に利益があるとすれば、それは営利活動にあたり、就活協定の問題提起は、この企業における本質的な意味で、どうでも良い事項であるように受け取れてしまいます。
つまり、何が言いたいかと言うと、このような目的が曖昧に取れてしまう戦略は企業として良くないと私は思います。さらに勘繰ると、企業内に様々な意見があり、それらを調整した結果、このように落ち着いたようにも伺えます。真剣に考えれば考えるほど分からないし、戦略目標も立てられません。世論的にも賛否両論あるでしょう。結果的に利益につながるかもしれませんし、社会貢献につながるかもしれません。私が面接に行くならば、この発表は何を意図しているのかを面接官に聞いてみたいものです。
リファレンス:
成熟経済を蝕む仮定法の亡霊 - 雑種路線でいこう
キヤノンマーケティングジャパン、業績悪化が原因で新卒採用活動を延期 | スラッシュドット・ジャパン
キヤノンMJの快挙!新卒採用の遵法 :: INSIGHT NOW!
http://d.hatena.ne.jp/ishidaken/20100106/1262793994
http://puff.weblogs.jp/kugi/2010/01/%E6%8E%A1%E7%94%A8%E5%87%BA%E9%81%85%E3%82%8C%E5%AE%A3%E8%A8%80%E3%81%AE%E8%A9%B1%E9%A1%8C%E3%81%AB%E3%81%82%E3%81%88%E3%81%A6%E8%A7%A6%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%97%A5.html
学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識
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