Pyramid ベースの軽量 CMS フレームワーク Kotti の紹介
ここ最近 Kotti アドオンの開発を行っていました。
Kotti は、Pyramid の上位でアプリ開発を支援するフレームワークです。いまのところ、軽量 CMS として開発が進められています。
Kotti を紹介するウェブサイトも構築されています。まだ概要程度の情報量ですが、日本語化もされているのでざっとご覧ください。
個人的にちょっと使ってみた感想としては、Kotti の CMS 機能もその完成度もまだまだベータ開発中といったところです。実用的なレベルまではもう少し時間がかかりそうですが、開発が活発に行われているので将来が楽しみです。私の場合、Pyramid を使ったアプリを開発してみたかったことと、普通の Web アプリにユーザー管理やコンテンツ管理の機能を簡単に追加したかったという動機で Kotti を利用してみました。
開発していると Pyramid の知識も必要になりますが、Node/Content という Kotti がもつリソースモデル、pyramid_tm によるリクエスト単位のトランザクション管理など、Pyramid 流の開発のプラクティスとして、フレームワークでどんなことをやっているのかを学ぶことが多かったです。また、後述する Kotti アドオンの開発も容易でした。
私が開発したものは Amazon Elastic MapReduce (Amazon EMR) を操作する Kotti アドオンです。
現時点の EMR の GUI と比較して、
- EMR 設定をリソースとして保存・再利用
- サービス単位にジョブフローをまとめる
- Keep Alive を有効にしたインスタンスへ追加ステップを実行
といった特徴があります。但し、まだまだ開発ステータスがアルファレベルであり、機能や UI は最低限のものですし、運用面の考慮も全くされていません。実験中といった感じです。
Kotti アドオンを開発する上で慣れが必要なのは、複数プロダクトの仕組みやドキュメントを調べないといけないことです。主なライブラリのドキュメントは以下です。
例えば、INI ファイル の設定においても、
kotti.site_title = Kotti with mapreduce kotti.secret = qwerty
などの kotti で始まる設定は Kotti 本体の設定ですが、
pyramid.default_locale_name = en pyramid.includes = pyramid_debugtoolbar
などの pyramid で始まる設定は Pyramid のドキュメントを調べないといけません。
また、
mail.default_sender = yourname@yourhost
は、pyramid_mailer の設定であり、これは Message オブジェクトの sender 属性 (envelope-from) に利用されます。
開発していて気になることや不具合があったときに Kotti 本体だけ調べても分からないこともよくあります。そんなとき、この機能を実際に提供しているのはどのプロダクトか、それはどういった仕組みかを理解するために、それぞれのプロダクトについての理解を深め、全体像を把握しないと解決策が分からないこともあります。
最初の取っ掛かりとしては、既に PyPI 上にも10個以上の Kotti アドオンが公開されているので、実際に動くサンプルとしてコードを眺めるのも参考になります。
まだまだ荒削りなフレームワークですが、その分、自分で開発したり、改善したりする余地がたくさんあります。Pyramid アプリ入門として Kotti アドオンを作るのでも良いように思います。もう少し経って Kotti の開発が落ち着いたら、ドキュメント翻訳にも挑戦してみたいところです。